調査当日のポイント

調査当日は事前のリハーサルや準備を入念に行っていても、緊張すると思います。ここでは調査当日に気をつけておきたいポイントをいくつか解説します。

身分証明書を確認する

調査官らしき人が訪問してきたら、まず身分証明書をしっかり確認しましょう。調査官は調査先で身分証明書の提出を求められた場合は、提示しなければいけないということが税法で義務付けられています。身分証明書には、官職名、名前、生年月日が記載されています。その場でメモなどを取っておくこともいいでしょう。もし、身分証明書の提示を求めて、提出されない場合は、税法でも「調査を断る合理的な理由」」に該当します。身分証明書を確認しないと、もしかするとニセ調査官という可能性も無きにしも非ずです。


調査時の服装など

調査官と最初のコンタクトは重要になります。
調査官が現れた時はいつもと変わらず自然に対応し、用意している会議室などに案内しましょう。
言葉使いは丁寧に心がけ、調査に来たからといって喧嘩腰の対応や逆にビクビクした対応をしてしまうと、第一印象で怪しいと思われてしまいます。社員の服装もある程度きを気をつけましょう。調査官はあらゆるところを観察していますので、ヨレヨレのシャツや髪の毛がボサボサであれば印象は良くありません。身だしなみも会社を判断するうえで重要になります。また経営者が高価なブランド物などを多く身に着けているなども印象としてはあまり良くありません。


会話での注意など

調査はまず簡単な挨拶から始まります。次に会社概要の説明などを求めらるのが一般的です。ここでは普段経営者同士で話している内容と同様に、穏やかに話すといいでしょう。でも相手が調査となるといつもとは違い緊張してしまいますので、あらかじめどういったことを話すのか考えておいてもいいでしょう。

ある程度経験がある調査官は、最初の挨拶から会社概要の説明でいろんな部分を見極めていきます。経営者の人間性や信頼性、会社の雰囲気など。調査の話には一切触れていなくても、調査官はある程度怪しい部分を絞って調査に来ています。ですから営業方法や事業推移などを伺いながら、自分が目的とする調査目標に向けて話を繋げていきます。

会社概要の説明の時に注意するポイントは以下です。

・同業者の批判や噂話はしない

・急に態度を変えたり、首を傾げるなど同様した態度を見せない

・つじつまが合うように話を進める

・調査官の雑談に調子にのってベラベラ話をしない

調査官は話を誘導させるプロと思ってもらっていいでしょう。何気ない雑談と思っていても、いつの間にか自社の聞かれては困る話、都合の悪い話になっていることに気づきます。そのような話にならないようにするには、まずまずベラベラ自分から話過ぎないことです。極力質問されたことに対してだけ素直に答えるように心がけましょう。間違っても自社の自慢話や同業他社の噂や批判などは避けましょう。どういったところから自社に不利な会話になるかわかりません。


答えにくい質問には即答は控える

調査官からさまざまな質問を受けますが、すべての質問に即答できるとは限りません。その際むやみに憶測で即答するのは止めましょう。いちいち全ての質問に対して帳簿を確認や契約書を確認して答えていては、いつまでたっても調査は終わりません。そういったすぐに答えられない質問は、メモ書きをしておき、内容がわかる経理担当者や税理士と昼食をとりながら打合せをするなりして、あとでまとめて答えるようにしましょう。もしその日に答えることが出来ない場合は、後日文書などで回答するようにしましょう。


調査官は同意がなければ勝手すべてを調べていけない

税務調査のイメージは、調査官が入ってくるなり、社内の金庫やレジなどすべて開けて、勝手に調査を進めいくと思っている方もいるかもしれません。しかしこれは間違いです。こういった調査はマルサではない限り令状もないのに行うことはできません。一般的に税務調査は任意調査なので、調査対象の同意がない限り強制的に進めることは出来ません。調査官が当たり前のように、そういった行為に及んだ場合は拒否しても構いません。しかし、何もないのに絶対拒否し続けると怪しく思われる場合もあります。拒否する場合は、「ここには調査に関係するものは一切はいっていません」など正当な理由で反論しましょう。

昼食などは用意したほうがいいの?

よく調査の時に昼食は用意したほうがいいのか?という質問を受けます。昼食に関しては「国家公務員倫理規定法」で、昼食などの接待は、調査員は辞退しなければいけないとなっています。ですから無理に昼食を勧めたりすると、調査官を困らせることになります。ですから昼食は用意する必要はありません。経営者は午前中の調査の打合せを行うためにも税理士や経理担当者と取るほうがいいでしょう。


調査結果は調査現場ではでない

調査官は調査現場で自分の意見や結論を出すことはありません。調査官は調査が終わると税務署へ戻り、上司である統括調査官に対して、調査結果の問題点を報告して、それに対する指示などを受け、検討に入ります。調査では問題がなかったとしても、統括調査官の指示で調査範囲を広げて追加で調査する場合もまります。調査期間中は、毎日このような報告と指示が行われています。


税務調査の終了

税務調査の終了は、いくつか問題点が指摘され、それらをすべて受け入れると調査が終了になるといわれています。それらの指摘を受け入れずに対立すると終了にはなりません。経営者によってはすべて納得がいかないという方もいると思います。そういった場合、受け入れられない部分は税務署と会社の認識の違いであるなら、折衝して税務署と一致点を見出すことです。それでも納得できない場合は、統括調査官などに報告書を提出して、更正や決定ということになってきます。経営者としては出来るだけ追徴の税金は払いたくないと思います。そのあたりの解決策は税理士と相談しながら決めることをおすすめします。